映画『君の名は。』 ネタバレ感想

いまさら? やっと見ました、君の名は。

素晴らしい映画であることは疑いようがないです。
というのも私はやっと見たとはいえ雲の向こうからの新海誠ファンです。
見る前に新海誠は売れるほうに舵をとった(魂を売った?)的な情報があったのですが、私は全然そう思いませんでした。

ネタバレもあるのでお気を付けください。

1、ストーリーについて

男女入れ替わりモノです。私はまっさきに転校生を思い出します。

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しつこいおっぱい

瀧が三葉の体にいれかわって、起きた時に毎回おっぱいを揉む描写があり、それを笑いに変えています。
なぜあの描写があるのかを考えていると、「瀧はおっぱいを触る以上のことはしていませんよ」という表現のかわりのように感じました。童貞感に繋がるそれこそ少女漫画やジャンプ漫画みたいなノリですね。

でもおっぱい、いいですよね。

瀧はなぜ3年前の隕石のことを思い出せない?3年前の三葉も

そもそも入れ替わった時にカレンダーとか見るでしょうし、日記の中に日付とかあると思うので、記憶が薄れるから、という理由以上のなにか必要なようにも思いますね。
3年前に三葉から組紐をもらっているわけで、そんなことがあったとしたら普通オトコなら忘れません。でも組紐だけは大事にしてるのです。
どうも瀧の存在は東京に住むイケメンの高校生という記号だけが必要、と言わんばかりですね。物語は三葉が中心に回っていることの一つだと思います。

瀧の家族や友人、学校などは一切描写されない

これもそうなんですが、瀧の周りは描写がすごく甘いのです。
私はこの映画は明らかに主人公は三葉だと思います。少女漫画のストーリーと思えばしっくりきます。まぁこれまでの新海誠映画です。
ただ気になるのはエンドロールが瀧が一番最初だったんですよね・・・

なくなった古文書?

古文書がなくなったというのはさらっとおばあちゃんがいいます。
どんな古文書だったんでしょう?1200年前に彗星が落ちた時の話ですよね。
そこらへんの情報が出てこなかったのは残念です。

宮水家の宿命と、瀧である必然性

女性しか生まれず、婿をもらってなにかを守っているわけですよね。おばあちゃんがなかなかに説明不足だと思うのですが、姉妹の父が政治家になったのを快く思っていないようですが、なぜでしょう?神職の重要性がわかるとよかったかな、と。
また、なぜ妻をなくして政治家に転身したのでしょう?
父は瀧の中身の三葉に「お前は誰だ?」と聞きます。おそらく父は体が入れ替わる経験をしてますよね。そうでなければそんな質問をするわけがないです。父はおそらく二葉とそうやって出会ったんだと思います。そうなると政治家になった理由はおそらく二葉の死にあるようです。ばあちゃんもそう言ってましたよね。べつの話があるんでしょうね。

最後に役所の放送室で三葉と四葉と父が顔を合わせます。あれだけ苦労して放送室に行ったのに、説得する部分がなく、いきなり5年後に。

これってかなり大事なシーンだと思うのですが、カットされたのはなんででしょう?

 

 

1200年前に宮水家が隕石から村を守ったのでしょう、おそらく。
それは三葉と瀧の前前前世で、そこからあの祠を守りながら来るべき隕石に備えたのでしょう。
瀧が3年遅く生まれたのは、1200年前もそうだったのか、隕石を知っている人がサポートする必要があったということでしょうか。
うーん、やっぱりもうちょっとおばあちゃんがストーリーに絡んできた方がわかりやすくなったような気もします。

山の上の初めて出会うシーンの謎

あそこって最初は三葉が瀧で瀧が三葉で出会って、途中で入れ替わりますよね。あの三葉っていつの三葉でしょう?
なんか自分が死ぬってことを認識してませんでした?というか死んだ後の三葉?ここのシーンはこれまでの入れ替わりとは決定的に違う部分でしたね。

2、ビジュアルについて

雲の向こう約束の場所の
秒速5センチメートルの都会
言の葉の庭の
すべてがさらに高い次元でブラッシュアップされたのが今回の君の名は。でした。
つまり新海誠集大成!って感じでした。

よく言われる写真みたいな背景

一つ一つのシーン、いわゆる写真の美しさと比較してました。
まだまだ写真のほうが美しいと思ってはいます。
いますが、あの雨はほんと素晴らしいです。水の反射は写真では叶わないんじゃないかと思わず絶望してしまいそうになるほどの。

写真の美しさを動画にした、と言ったらちょっとイメージが違いますけど、アートとして個性のある写真の中で表現しようとする光や色、描写が動いてるって言えば近いでしょうか?

他にも背景が綺麗なアニメはありますけど、新海誠ワールドは別格です。

これまでの新海誠映画との違い

キャラデザや音楽RANDWIPSの部分でこれまでの新海誠とは違った映画になっています。

言い方が誤解がないといいのですが、「この2つで女性に見つかった」んだと思いました。
RANDWIPSの音楽を効果的に聞かせるための構成にもなってますよね。

セクシー奥寺先輩

奥寺先輩があこがれ?かりにあのタイプが好きになる瀧くんであれば、三葉って・・・

あ、でも三葉は3歳年上の大人の女性なわけでかえってOK?

5年後、奥寺先輩はなぜ瀧に会いに来たんでしょう?おそらくなにかストーリがありますよね。結婚の報告?いえいえそれだけじゃないでしょう。だって報告をする仲だったってことでしょう?

彗星の描写

なんかいまいちでした。分裂の部分とか表現がないし、広角レンズでの遠景がメインなので。そらに青、紫の筋があるだけみたいに見えてもったいないかなと。

もっと派手に動いてキラキラして、なおかつ恐怖の対象であってほしいな、と。

総合的な感想

とにかく興行収入にふさわしい素晴らしい映画でした。

ストーリーにいろいろ疑問をぶつけたのは結局記憶が曖昧になるという前提が毎回あって、それでも二人は(組紐のように)つながっていく、結ばれていく、というのがテーマだと感じました。

すごく重要な部分でここに一番感動できるのですが、その記憶が曖昧になる部分がご都合主義に感じる部分もあるんですよね。

だって「君の名は」というタイトルの意味自体も、名前も思い出せない相手なのに結ばれているとしか思えない感情が溢れ出すわけですからね。

これだけ売れたので、この話を軸にいろいろ補完してくれる話やアナザーストーリーなんかも作ってもいいかもと思います。

つまり、1200年前の話も作ってください!

前世や前前世もお願いします。

あとユキちゃん先生友情出演おつかれ!

 

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